自らの死を意識して、人生の最期に備える「終活」。遺言書の作成や断捨離など「そろそろ終活が必要かな」と感じていても、具体的に何から始めるべきか迷っている人もいるのではないでしょうか。
本記事では優先順位の高い終活や終活を始めるタイミング、知っておきたい注意事項などを解説していきます。
自分や家族が心穏やかに過ごすためにも、できるところから終活をスタートさせましょう。
終活の身辺整理は何から始める?優先順位が高い準備7選
優先順位が高い終活7選を、具体例とともに解説していきます。
- 資産をチェックし必要情報をまとめる
- 伝えたいことをエンディングノートに記す
- 不用品を断捨離する
- 葬儀やお墓について決めておく
- 相続の計画を立てる
- 遺言書を作成する
- 「残りの人生でやりたいこと」をリストアップする
1:資産をチェックし必要情報をまとめる
終活にあたって、自分がどのような資産をどれくらい持っているか正確に把握するために、まずは資産の棚卸しを行いましょう。
保有資産を把握することで「終活をどのように進めるべきか」のイメージがつきやすくなります。資産を一覧表にまとめて必要情報が一目でわかる形にしておけば、万が一のときに遺族が対応しやすいです。
具体的には預貯金や株式、保険、不動産、貴重品、ローンなどの必要情報を記載してください。
例えば預金情報であれば、記載する内容例は以下のとおりです。
- 預け先金融機関名
- 預金額
- 口座の暗証番号
- ID
- パスワード
親や兄弟から相続した遺産など、自分自身が忘れている資産もあるかもしれません。資産の見落としがないか入念にチェックしましょう。
2:伝えたいことをエンディングノートに記す
エンディングノートを作成し、家族や友人などにあなたの意思や気持ちを伝えましょう。エンディングノートとは自分に関するさまざまな情報をまとめておく終活用ノートで、例えば以下の情報を記載します。
- 家族やお世話になった人へ感謝のメッセージ
- 資産の一覧表
- 医療に関する希望
- 介護に関する希望
医療に関しては、病名や延命治療の希望、臓器提供の意思、最期を迎えたい場所などを示しておきましょう。かかりつけの病院を記載しておけば、重要な決断をする際の連携がとりやすくなります。
介護に関しては、ゆずれないポイントを記載しておくと納得のいく生活を送りやすくなります。具体的には「自分が生まれた地域の施設に入りたい」「静かな個室で過ごしたい」などです。その他にも、介護をお願いしたい人や介護費用の負担方法なども記載しておくと、いざというときの安心感につながります。
上記で紹介したのは一例ですが、伝えたいことや希望をエンディングノートに示しておくことで、周囲の人はあなたの意思を尊重して行動しやすくなります。
3:不用品を断捨離する
不用品の断捨離を進めることで、遺品整理を行う家族の手間を減らせるだけでなく、気持ちよく余生を過ごせます。
家族が処分に困るようなコレクションや服、家電などは整理を進めておきましょう。整理の方法は単に捨てるだけでなく、以下の方法があるので参考にしてみてください。
方法 | 利用可能サービスの例 |
---|---|
廃棄 | ・不用品回収業者 ・自治体の回収サービス |
売却 | ・フリマアプリ ・オークションサイト ・リサイクルショップ |
寄付 | ・NPO法人 ・図書館(本) |
譲渡 | ・不用品を譲り合う掲示板 |
整理を進める中で、どうしても処分をためらうものに関しては無理に捨てる必要はありません。判断を保留にして、一定期間後に再度検討しましょう。
4:葬儀やお墓について決めておく
葬儀やお墓について決めておくことも、終活を進める上で優先順位が高いポイントです。
葬儀に関しては、以下の点を検討しておくとよいでしょう。
検討しておくこと | 選択肢の例 |
---|---|
葬儀の規模 | ・近親者のみで執り行う ・盛大に執り行う |
葬儀の形式 | ・一般葬 ・家族葬 ・一日葬 ・直葬・火葬 |
遺影 | ・すでにある写真を活用する ・遺影用の写真を新たに撮影する |
葬儀に呼んでほしい人と電話番号をリスト化しておくと、遺族がスムーズに手配を進めやすくなります。
お墓に関しては、先祖代々のお墓に入ることや、新たに購入することも検討してみてください。例えば、自分が生きているうちに建てる「生前墓」ならば、家族と話し合いながらじっくりお墓を決められます。その他にも樹木葬や海洋葬、宇宙葬などの選択肢もあり、お墓の形はさまざまです。
葬儀やお墓についての希望も、エンディングノートに記載しておきましょう。
5:相続の計画を立てる
終活にあたって、相続のための計画を立てておきましょう。誰にどのような財産を相続してもらいたいのかや、資産の管理・処分方法を具体的に考えておくことが大切です。
例えば不動産を所有しているならば、不動産を相続してもらうのか、あるいは現金化して相続しやすい形にするのかなどを検討してください。
相続税対策も進めておくことで、相続人の税負担を抑えられます。生前に財産を贈与しておいたり、生命保険に加入しておいたりすることが節税対策につながるケースもあります。
相続税の節税対策は、税金の専門家である税理士に相談して進めると安心です。
6:遺言書を作成する
相続の計画を立てたら、資産の相続先を指定するために遺言書を作成しましょう。遺言書で相続先を明確にしておくことで、遺族間のトラブルを防ぐことにもつながります。
遺言書の種類は大きく分けて、以下の2種類です。
- 自筆証書遺言:手書きで書いた遺言書。本人が財産目録以外のすべての文章を直筆で記載し、日付と氏名を自書して押印する必要がある。
- 公正証書遺言:公証役場の公証人に依頼して、公正証書という書類にする遺言。
自筆証書遺言はコストをかけずに遺言を作成できるメリットがありますが、内容に不備がある場合は無効になる可能性があります。
公正証書遺言は専門家に依頼するため確実性が高い反面、コストや時間がかかるのがデメリットです。
費用や残された時間、資産状況、意思能力などに応じて、どのように遺言書を作成するか検討しましょう。
7:「残りの人生でやりたいこと」をリストアップする
エンディングノートに「残りの人生でやりたいこと」をリストアップしてみましょう。
終活は「人生の終わりを意識して行う準備」だからこそ、家族や残された人の負担を減らすことに意識が向きがちです。しかし、残りの人生を悔いなく生きるための手段を考えることも立派な終活の一つといえます。
やりたいことを思いつくままにエンディングノートに記してみてください。具体的には「夫婦で行ってみたかった土地を巡る」「新しい趣味に挑戦する」「疎遠になっていた友人を訪ねる」などです。
これからの人生をどのように送るかを改めて考え行動に移すことで、充実した毎日を過ごせます。
終活は何歳から?必要性を感じたならいつから始めても良い
終活を始めるタイミングは、あなたが終活の必要性を感じたときです。
「終活は何歳から?」と迷っている人も多いですが、終活には「何歳から始めればいい」という具体的な基準は存在しません。20代や30代の若い年齢で終活をスタートさせる人もいれば、定年後に時間ができて終活を始める人もいます。
「終活をしたほうがいいかもしれない」と少しでも感じたのであれば、あなたのペースで終活を始めてみましょう。
十分な決断力や判断力、分別力、管理力、体力が備わった状態で終活をスタートさせることで、より良い選択にもつながります。
終活にあたって知っておきたい注意事項5つ
終活にあたって知っておきたい注意事項は以下の5つです。
- 家族と情報を共有しながら進める
- デジタル終活を忘れない
- エンディングノートには法的効力がない
- おひとりさまや家族に頼れない人は制度の活用を検討する
- 必要に応じて専門家にサポートしてもらう
1:家族と情報を共有しながら進める
終活をするのであれば、必ず家族と情報を共有しながら進めましょう。
お盆や正月などの親族が集まるタイミングで、医療や介護、葬儀、お墓についての希望を伝えておくと、家族は心の準備ができ、いざというときのイメージも持ちやすくなります。
エンディングノートや遺言書の保管方法を家族に共有しておくことも大切です。せっかくエンディングノートや遺言書を作成しても誰も見つけられなければなんの意味もありません。
家族と情報を共有しながら進めることで、不要なトラブルを防ぐことにもつながります。
2:デジタル終活を忘れない
終活にあたって忘れてはならないのが「デジタル終活」です。デジタル終活とは、スマホやパソコンに保管されたデータを整理しておくことです。
具体的には、SNSのアカウントやサブスク契約に関する情報をエンディングノートにまとめておく他、人に見られたくないデータは削除しておきましょう。
特にサブスク契約に関しては、放置しておくと契約者が亡くなった後も利用料がかかり続けるケースがあります。不要な利用料を払い続けることになるので、解約手続きができるよう必要情報をエンディングノートに記載しておくのがおすすめです。
IDやパスワードなどは、変更があったらその都度新しい情報を記載し直すようにしてください。
3:エンディングノートには法的効力がない
エンディングノートは家族などへ希望を伝えるための手段であり、法的効力がない点は覚えておいてください。
例えばエンディングノートに遺産の分割割合や分割方法を記しても、確実に実行される保証はありません。相続に関する重要事項は法的効力のある遺言書に記しましょう。
エンディングノートと遺言書はそれぞれ役割が違うため、使い分けて終活を進めることが大切です。
4:おひとりさまや家族に頼れない人は制度の活用を検討する
独身で身寄りのない「おひとりさま」や、家族に頼れない事情がある人は、もしものときに支援してもらえる制度や契約の活用を検討しましょう。具体例は以下のとおりなので、参考にしてみてください。
制度または契約 | 内容 |
---|---|
任意後見制度 | 判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約で決めておく制度。 |
成年後見制度 | 認知症などによって判断能力が十分ではない人を、本人の意思を尊重しながら保護するための制度。 |
死後事務委任契約 | 亡くなった後の事務手続きをお願いしておく契約。 |
財産管理委任契約 | 財産の管理を委任する契約。 |
厚生労働省「ご本人・家族・地域のみなさまへ 成年後見制度とは」
5:必要に応じて専門家にサポートしてもらう
終活をスムーズに進めるためには、必要に応じて専門家からのサポートを受けることが大切です。
終活には法律などの専門的な知識が必要な場面があり、一つ一つを調べながら終活を進めるのは大きな負担です。知識不足のせいで、せっかくの努力が水の泡になる可能性もあります。例えば遺言書は自力でも作成できますが、内容に不備があれば無効です。
重要な場面や専門的な知識が必要なときは、専門家から支援を受けることで安心して終活を進められます。
以下に終活をサポートしてもらえる専門家の例をまとめたので、参考にしてみてください。
相談内容 | 専門家の一例 |
---|---|
終活全般に関する相談 | 終活カウンセラーや終活アドバイザー |
相続税対策に関する相談 | 税理士 |
相続財産の不動産に関する相談 | 司法書士 |
遺言に関する相談 | 弁護士や行政書士 |
葬儀に関する相談 | 葬儀社 |
終活で発生した不用品に関する相談 | 不用品回収業者 |
終活をするメリット3つ
「終活を始めたいけど、なかなか踏み切れない…」と感じる場合は、終活をすることで得られるメリットを意識するとよいでしょう。終活には大きく分けて3つのメリットがあり、それぞれを具体的に解説していきます。
- 家族の負担が減る
- 相続トラブルを防げる
- 人生の振り返りができる
1:家族の負担が減る
終活をする上で大きなメリットは、家族の負担を減らせることです。
大切な人の死を目の当たりにすると、遺族は激しく動揺します。そのような状況で葬儀やお墓、相続、遺品などに関する重大な決断を次々としなければなりません。
しかし、遺言やエンディングノートで自分の希望を伝えておけば、遺族はその希望にのっとって手続きできます。生前整理をしておけば、家族が処理する荷物も最小限に抑えられ、手間も少ないでしょう。
残された家族が故人をしのぶ時間を十分に確保できるように、終活を進めましょう。
2:相続トラブルを防げる
家族間の相続トラブルを防げる点も、終活をする上でメリットです。
もし資産の相続先や管理方法を決めない場合、相続人それぞれが権利を主張し合い、収拾がつかなくなる可能性があります。
遺言といった形で資産の相続先を示すことに抵抗を感じる人もいるかもしれません。しかし、あなたの遺志が示された遺言は、家族の道しるべになります。
争いの火種を生まないためにも、家族と話し合いながら終活を進め、家族が納得できるような選択を心がけましょう。
3:人生の振り返りができる
終活を進めることで人生の振り返りができ、前向きな気持ちで毎日を過ごせます。
今までの経験で得られたことを棚卸しすることで、「これから何をしたいのか」「納得のいく人生を歩むためにはどうしたらいいのか」などを改めて考えられます。
死や将来に対する漠然とした不安と向き合うことで、安心して残りの人生を歩めるようにもなるでしょう。
まとめ:自分のペースで終活を進めよう
終活をしておくことで、家族のトラブルを防いだり負担を減らしたりすることが可能です。今までの人生も振り返りながら、自分のペースで終活を進めましょう。
必要に応じて専門家の手を借りることで、具体的な解決策が見つかったり、スムーズに終活を進められたりします。
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