生前整理は、死後を意識して身近なものの整理をすることを指します。残された家族を思うだけでなく、過去の自分を見つめて今後の人生をより豊かにするうえで欠かせない作業の1つといえるでしょう。
生前整理を兼ねた断捨離では、手放すべきものと残しておくべきものがあります。残しておくべき遺言書や権利証書などを誤って処分すると、家族や親族のトラブルにつながる可能性が高まるため注意しましょう。
今回は生前整理を兼ねた断捨離について解説します。ポイントや注意点を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
生前整理とは「今後を踏まえて身の回りを整理すること」
生前整理とは、死を意識しながら身近に溢れているものや財産などの整理を済ませることをいいます。
終活の1つに分類され、生まれてから今までどのような人生を歩んできたかを振り返ることが可能です。
過去の自分と向き合いながら、今後の生き方を考えるきっかけにもつながります。そのため、生前整理は後悔のない人生を送るうえで大切な行動の1つです。
なお、整理するという観点から「断捨離」と同じ意味で考えられることがあります。しかし、断捨離は家にあるガラクタを「捨」て、要らないものを「断」ち、ものへの執着から「離」れることを指す言葉です。
生前整理は、死を意識しながら残される家族のために身の回りを整理するのに対し、断捨離は今に焦点を当てて整理をします。
方向性の違いが見られるため、生前整理と断捨離は別の意味を表すといえるでしょう。
生前整理を兼ねた断捨離を始めよう!3つの手順とポイント
過去の自分と向き合いながら、いまを見直して今後の人生を豊かに生きるために、生前整理を兼ねた断捨離をスタートさせましょう。ここでは、生前整理を兼ねた断捨離で大切な3つのポイントを、手順に沿って紹介します。
- 「物」の整理
- 「心」の整理
- 「情報」の整理
「物」の整理
生前整理を兼ねた断捨離で、はじめに手をつけるべきなのが「物」の整理です。
普段使わないものや今後も使わないもの、壊れて使えないものなどを中心に整理しましょう。「物」に該当するものは、主に以下のとおりです。
- サイズアウトし履けないズボン
- 汚れが落ちないTシャツ
- 穴の開いた靴下
- 使わない化粧品
- 履きつぶした靴
- 割れた食器
- 汚れが落ちないグラス
- 戸棚の奥に眠っているお土産品 など
「物」の整理をすることで、部屋のタンスや食器棚の収納スペースなど、さまざまな空間が開放されます。普段部屋に放置していたものを収納できれば掃除がしやすくなり、生活のしやすい環境づくりにもつながるでしょう。
「心」の整理
物が整ったら、次に手をつけるのが「心」の整理です。思い出を振り返りながら、心を落ち着かせましょう。
思い出の整理の1つとして、写真の整理を早めにするのがおすすめです。写真は片づけの仕方が分からない人が多く、遺品整理でほこりを被ったまま破棄されるケースが頻繁に見られるといわれています。
思い出を振り返って「心」を整理する作業は、いままでの自分の人生を見つめ直すための大切な行動です。時間をかけて、ていねいに振り返りましょう。
写真の整理は、以下の手順で進めます。
- 写真を集める
- 残す写真を100枚厳選する
- 100枚のなかから、さらに30枚に絞る
枚数はあくまでも目安です。大切な人との写真や忘れられない思い出の写真を厳選しましょう。
手元に残った写真には付箋やメモでエピソードを添えておくと、世界に1つしかない思い出の詰まったアルバムが完成します。
「情報」の整理
「物」と「心」を整えたら、最後は「情報」の整理をしましょう。情報に分類されるのは、主に以下のとおりです。
- 財産に関する情報
- デジタルの情報
- 気持ちに関する情報
財産に関する情報には、保険や年金、銀行口座などが含まれます。所有するお金の渡り先や株の整理、土地の相続先、所有物件の権利などについてしっかりと決めておきましょう。
そして、デジタル情報をまとめるのも重要です。ネット銀行のパスワードやログインに必要なIDは、1か所にまとめてメモしておきましょう。
そして、生前整理に対する気持ちの共有も大切です。今後の過ごし方に関する要望を家族に伝えておきましょう。
生前整理を兼ねた断捨離で捨ててはいけない3項目
生前整理を兼ねた断捨離では「物」「心」「情報」の整理が大切ですが、なかには捨ててはいけないものも存在します。ここでは、生前整理を兼ねた断捨離を進める際に大切に保管するべきものについて、項目ごとに詳しく解説します。
- 法的理由で保管が必要なもの
- 死後の手続きで必要なもの
- 将来的なトラブル防止のために必要なもの
法的理由で保管が必要なもの
遺言書には、法的価値があります。戸籍謄本や権利書などの相続関係書類は、死後の相続手続きの際に重要な資料となるため、紛失は許されません。
また、お金はすべて相続財産として扱われます。
銀行に預けているものはもちろん、現金も重要な財産です。財布だけでなく、引き出しのなかや洋服のポケットなどもしっかりと確認し、大切に保管しましょう。
株式や宝くじなどの有価証券類に該当する書類は、一目で価値を判断するのは難しいです。しかし、相続税に関わる可能性がないとはいい切れないため、処分せずに保管しておくのが望ましいでしょう。
死後の手続きで必要なもの
運転免許証やパスポートなどの身分証明書は、故人の本人確認の際に必要です。年金の過払いを止めるために、年金手帳も重要な書類のため大切に保管しましょう。
また、銀行の通帳やキャッシュカードなどは、相続手続きを進める際に使用します。
そしてクレジットカードは、継続的な支払いの有無を把握するための大切な情報源です。解約手続きが完了するまで、保管しておくとよいでしょう。
公共料金や不動産などの契約書や請求書類も、死後は遺品として取り扱われます。生前の契約状況を把握することができるため、誤って処分しないよう注意しましょう。
将来的なトラブル防止のために必要なもの
遺書やエンディングノートには、遺品の譲り先や葬儀の要望、親しい人に向けた言葉などが記載されています。残された家族が故人の願いを叶えられる大切な遺品となるため、捨てずに保管しましょう。
介護のレンタル品や図書館の貸し出し本、会社のパソコンなど、借りているものを処分すると、トラブルに発展するかもしれません。返却または返却方法を家族に共有し紛失を避けましょう。
使用用途の分からない鍵も、すぐに処分せずに保管しておくのがおすすめです。美術品や宝飾品は、価値の高いものである可能性も否定できないため、査定を受けてから判断しましょう。
生前整理を兼ねた断捨離でやってはいけないこと
生前整理を兼ねた断捨離では、避けるべき行動があります。死後のトラブルを防ぐためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 勢いに任せて捨てる
- 家族の協力を得ずに進める
勢いに任せて捨てる
生前整理を兼ねた断捨離は、捨てることに重点を置いてはいけません。
勢いに任せて捨てると、大切な書類を処分してしまいトラブルに発展することがあるでしょう。思い出を振り返ることができず、後悔につながります。
大切なのは捨てる行動ではなく、大切なものと向き合うことです。そのため、生前整理は時間をかけてでも慎重に進めましょう。
生前整理の断捨離のコツは「8秒間」の判定タイムを設けることです。8秒間で、手放すか手元に残すかを決断しましょう。
時間内に決断できない場合は、期限を決めて一時保管しておきます。たとえば1か月や半年などと定め、再度手放すか判断する機会をつくりましょう。
また、1日10個処分を検討する、1週間に1回タンスのなかを見直すなど、進める目安を決めておくのもおすすめです。リストアップしておけば、時間を効率的に使えます。
生前整理では、使わないものを手放しながら心の整理をし、自分にとって大切なものを見極めましょう。
家族の協力を得ずに進める
生前整理を兼ねた断捨離を問題なく進めるには、家族の協力が必要不可欠です。
生前整理は過去から現在、そして死後に関する物・心・情報の整理をしなくてはいけません。多くの時間や労力が必要となり、人によっては大きな負担を感じるでしょう。
また、遺産の相続先や財産分与を勝手に決めると、故人の死後に家族や親族間のトラブルに発展することも否定できません。そのため、生前整理は家族や親族に協力を得ながら進めるのがおすすめです。
家族から協力を得ることで、家族と一緒に思い出を振り返ったり同意を得たりしながら生前整理が進められます。生前整理を兼ねた断捨離は1人で終わらせずに、家族や親族とコミュニケーションをとりながら物や心、情報の整理をしましょう。
生前整理を兼ねた断捨離をすぐに始めるべき理由
生前整理は死に向けての準備を進める意味合いだけでなく、いまの生活をより充実させるために大切な行動といえます。そのため、生前整理はなるべく早めに取り組むのがおすすめです。
ここでは、生前整理を兼ねた断捨離をすぐに始めるべき理由について解説します。
- シンプルで快適な生活につながる
- 家族の負担を軽減できる
シンプルで快適な生活につながる
生前整理を兼ねた断捨離は、不要なものの整理ができ、必要なものや大切なものに囲まれた生活を送ることができます。部屋がスッキリし、スペースの確保にもつながるでしょう。
また、自分が生活をするうえで、必要とするものと不要と考えるものの区別がはっきりとつきます。必要とするものに囲まれた生活は、ものが整理できるだけでなく気持ちの整理もでき、シンプルで不安のない生活につながるでしょう。
家族の負担を軽減できる
早めの生前整理は、残された家族にも大きなメリットを与えます。
たとえば、生前整理をせずに亡くなった場合、残された家族や親族で故人の物や情報の整理をしなくてはいけません。通帳やキャッシュカードの場所や銀行アプリのパスワードなど、遺産の確認をするだけでも大変な作業となるでしょう。
事前に生前整理を済ませておけば、故人の死後に必要とされる手続きが明確になり、家族や親族の負担が軽減できます。相続先の情報や遺言書などを事前に共有することで、家族や親族間のトラブルを未然に防ぐことにもつながるでしょう。
自身の気持ちだけでなく家族の気持ちに寄り添うためにも、生前整理は早めに始めましょう。
生前整理を兼ねた断捨離に困ったら!3つの相談先リスト
「生前整理で困ったときにどこを頼ればいいか分からない」「生前整理を兼ねた断捨離を始めたが、思うように進められない」など生前整理や断捨離に不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
ここでは、生前整理を兼ねた断捨離を進める際に知っておきたい、便利な相談先を3つご紹介します。
弁護士:相続関係の相談におすすめ
相続に関する疑問や問題の解決には、弁護士を頼りましょう。
弁護士は、遺言書の作成や債務整理の知識が豊富です。遺言書は、書き方によっては無効になる可能性がありますが、弁護士に頼めば正式な記載で作成してもらえるため安心です。
借金がある場合は、負債に関する交渉の代行役を担ってもらえます。法律の相談はもちろん、遺産分割などにも対応してくれるでしょう。
また死後に必要な葬儀や埋葬の手続きを委任することも可能です。
専門業者:不用品の整理におすすめ
生前整理を兼ねた断捨離で不用品の整理がなかなか進められない場合は、不用品整理に詳しい専門業者の手を借りるのも解決方法の1つです。
専門業者は不用品整理の扱いに詳しいため、1人で断捨離をするよりもスピーディーに進められるでしょう。無料見積りを活用して複数社を比較すれば、相場がしっかりと把握でき安心感を得られるだけでなく事前にトラブルを防げます。
時間をかけずに身の回りの整理を進めたい方は、専門業者に依頼するのがおすすめです。
消費生活センター:生前整理のトラブルの相談におすすめ
生前整理でトラブルに巻き込まれた場合は、消費生活センターに相談しましょう。
消費生活センターは、さまざまなトラブルを解決に導いてくれる心強い相談先です。全国のさまざまな地域にあるため、気軽に相談ができます。
なかでも「消費者ホットライン」は電話で相談が可能なため、家にいながらトラブルの解決策を導き出せるでしょう。
トラブルを1人で抱え込むと、不安が広がります。ぜひ、消費生活センターに問い合わせましょう。
まとめ:生前整理を兼ねた断捨離はポイントを押さえてトラブルを防ごう!
生前整理を兼ねた断捨離では、「物・心・情報」の3つを中心に整理を進めましょう。ただし、遺言書やキャッシュカードなどは死後の手続きで必要な情報となるため、捨ててはいけません。
また、生前整理を兼ねた断捨離は早めに手をつけることで、相続の確認がしっかりとできます。残された家族の負担軽減にもつながるため、手放すべきものと残すものをしっかりと把握し、生前整理を兼ねた断捨離を進めましょう。
生前整理を兼ねた断捨離にお困りの方は、再良市場にご相談ください。
残すべきものをしっかりと把握しながら整理が進められます。1人で断捨離をするよりもスムーズに生前整理ができるため、時間を有効に使いたい方にもおすすめです。
まずはお気軽にご相談ください!